この度の熊本地震により被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
今なお続く余震、断水、停電、そして猛暑の中での避難生活を送られている方々のご心痛を思うと、言葉もありません。一日も早い生活再建とライフラインの復旧を、心からお祈り申し上げます。
私自身、本業のため現地に赴き直接お手伝いすることができず、大変心苦しく思っております。せめてこの場を借りて、被災地の状況を正しく知り、私たちが拠点とする奥能登の防災に何を活かせるかを考えることが、今の自分にできる形での支援だと考え、筆を執りました。
熊本地震の概況
2026年7月28日16時27分頃、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生し、宇城市・氷川町で最大震度7を観測しました。気象庁は今後1週間程度、同規模の地震への注意を呼びかけており、実際に29日夜にも震度5弱の地震が発生するなど、地震活動は活発な状態が続いています。
7月31日時点で、人的被害126人(うち死者35人)、避難者9,000人超という深刻な状況です。約3.5万戸の停電、広域断水に加え、九州新幹線の一部区間は復旧の見通しが立っていません。
今回の被害を見て感じるのは、「地震そのものの揺れ」だけでなく、その後に続く生活インフラの断絶が被災生活を一層厳しくしているということです。
生活インフラの断絶
停電で照明や冷房が使えない
断水で衛生環境が保てない
避難所が混み合い、車中泊や自宅避難を選ばざるを得ない
余震への不安で、屋内に戻れない
避難生活の実態 ― 「車中泊しか選択肢がない」
現地の報道からは、避難所に入らず「軒先避難」や車中泊を続ける被災者の多さが伝わってきます。
公民館や学校が被災して避難所を開設できない地域があること、高齢者や子どものいる世帯が慣れない集団生活をためらうこと、そして何より、停電で冷房が使えないために「自宅にいたくてもいられない」という現実があります。
猛暑の中、ガソリンスタンドには燃料を求める車の長い列ができ、「今晩が限界」という声も報じられています。2016年の熊本地震から10年が経った今、規模も課題の本質もほとんど変わっていないことに、強い危機感を覚えます。こうした状況では、避難所だけでなく、車中泊や在宅避難の環境をどう支えるかが極めて重要になります。
奥能登でも、同じことが起こり得る
私たちの拠点である奥能登は、2024年の能登半島地震を経験した土地です。今回の熊本の状況は、決して「よそごと」ではありません。半島特有の道路の脆弱性、集落の分散、高齢化率の高さ、そして電力・通信インフラの復旧に時間がかかりやすい地理的条件は、熊本以上に深刻な形で現れる可能性があります。地震だけでなく豪雨や停電が重なれば、生活再建は一気に難しくなります。
つまり熊本で起きていることは、奥能登のような地域にこそ「次に起きるかもしれない災害」として当てはまります。だからこそ弊社「みらい防災不動産」は、能登地震の経験を踏まえて構築してきたオフグリッド電源システム・ポータブルバッテリー・監視カメラシステムを、単なる商品としてではなく「災害時に在宅避難・軒先避難を選べるようにするための常設の仕組み」として提案していきたいと考えています。
自分の家が被災したからこそ、たどり着いたシステム
このオフグリッドシステムとポータブルバッテリーの連携は、もともと事業として設計したものではありませんでした。3年前の奥能登の地震で自宅が被災し、なんとか自力で復旧させようと手探りで組み上げたのが始まりです。
実際に自分の家で使い続けるうちに、これはどのお宅でも十分に使えるものだと実感しました。特別な設備でも、限られた人だけのものでもない。その実体験があったからこそ、事業の中核に据える決断ができました。
今回、熊本のニュースに触れて、このシステムが被災地・被災後の生活で間違いなく役立つものであると改めて確信しています。そして何より、平常時から日常的に使い続けているからこそ、いざ被災したときにも慌てず、スムーズに運用することができます。特別な「非常用」ではなく、日常の延長線上にある備えであることが、このシステムの一番の強みだと考えています。
弊社が提案できること
オフグリッドシステム ― 「車中泊しかない」を「家にいられる」に
今回の熊本の記事で繰り返し語られていたのは、停電による冷房停止への恐怖でした。太陽光パネルとLiFePO4バッテリーによる独立電源があれば、停電中でも自宅で冷房・照明・通信を維持でき、車中泊に頼らず在宅避難を選択できます。完全な自立ではなくても、「最低限止まらない」ことに大きな価値があります。
弊社の能登拠点では、能登地震後に構築した太陽光+バッテリー+発電機の三段構えのオフグリッドシステムにより、2026年4月時点で約93.5%の電力自己完結率を実現しています。この実績データそのものが、災害時の電源確保の説得材料になると考えています。また、これは災害時の安心だけでなく、平時の省エネやBCP対策としても意味を持ちます。
弊社のオフグリッドシステムの特長は、分電盤に直接つなぎ込んでいる点です。分電盤には複数の切り替え機を設置しており、天候不良などでソーラーパネルでの発電が難しいときは、外付けの発電機に切り替えて、発電した電力を家中に回すことができます。太陽光だけに頼らない、二段構え・三段構えの電源設計です。
発電機の燃料は基本的にガソリンのため、ある程度の備蓄が必要です。消防法上、危険物取扱者の資格がない場合は保有量が20リットルまでに制限されるため、無制限に備蓄できるわけではありません。それでも、太陽光発電が使えないときの第二・第三の手段として発電機を保有しておくことを、弊社ではお勧めしています。実際に私自身も、自宅・2拠点目の自宅いずれの住宅にも発電機とガソリンを常備しています。
ポータブルバッテリー― すぐに届けられる電源
据置型のオフグリッドシステムには施工の時間がかかります。一方、可搬型のポータブルバッテリーであれば、発災直後から即座に運用ができ、燃料に頼らない冷房・充電手段として初動支援に活用できます。スマートフォンの充電、扇風機、照明、カメラの電源確保など、避難生活の初動を支える役割も担います。
監視カメラシステム― 倒壊家屋・留守宅を守る
全壊・半壊した住宅を離れられず、日中は倉庫、夜は車中泊という生活を送る方の声も報じられていました。弊社では現場の状況に応じて3段階のカメラ提案が可能です。
在宅・軒先避難中の住宅向け:オフグリッド電源と連携した据置型監視システム「LiNA」
完全倒壊・給電不可の現場向け(通信環境あり):太陽光内蔵のWi-Fi型カメラ
通信インフラも失われた現場向け:SIMカード内蔵・太陽光式カメラを高所に設置し、盗難防止と見守りを両立
通信環境があればWi-Fi型、通信が不安定ならSIM型というように、現場の状況に合わせて柔軟に使い分けられる点が特徴です。SIMカードにはmineoのデータ専用プラン(公式料金で3GB月880円、7GB月1,280円)を採用し、通信コストを最小限に抑えています。
スターリンク衛星通信 ― 電力だけでなく「通信」も途絶えさせない
オフグリッドシステムや発電機、ポータブルバッテリーで電力の供給を確保しても、通信が途絶えてしまえば安否確認も情報収集もできません。そこで弊社では、スターリンク衛星通信を活用した通信インフラのレジリエンス強化を推奨しています。
私自身、2軒の家それぞれに据え置き型のスターリンクを設置して運用しているほか、持ち運び用の「スターリンク ミニ」も1台保有し、どこでも通信環境を確保できるよう備えています。
一般的な自宅用の光回線やケーブルテレビは月額5,000円前後が相場ですが、スターリンクの据え置き型は月額7,000円ほどです。プラス2,000円程度で、停電・回線断が起きても使い続けられる通信環境を確保できると考えれば、月々の「保険料」としては十分に安いと私は考えています。
持ち運び型の「スターリンク ミニ」については、まだ事業用として経費計上できないため、普段は「スタンバイモード」(月額約1,600円)にしています。通信速度は制限されますが、メールやLINEの送受信程度は問題なく行える水準です。実際に災害時など必要になったときだけ、その月だけ日割りで月額7,000円ほどのフルプランに切り替え、使い終えたらまたスタンバイモードに戻す ― この運用で、格安かつ安心な通信環境を”ストック”しておくことができます。
端末(スターリンク ミニ)本体の価格は約4万円弱です。この初期投資も、10年使えば年あたり4,000円、5年でも年あたり8,000円、1日あたりに換算すれば缶コーヒー1本分程度の負担で済みます。
もし今また能登で大きな災害が起きた場合、私が保有するスターリンク ミニを避難所に持ち込み、フリーWi-Fiスポットとして提供することができます。こうした端末を一人でも多くの方が保有していれば、通信が途絶えた地域同士でもメールやLINEで連絡を取り合い、安否確認や行政への連絡ができるようになります。
水道や下水道と違い、通信インフラは自らの意思で購入・契約するものであり、行政から支給・貸与されるものではありません。だからこそ行政の支援を待つのではなく、わずかな費用で自ら備えておくという考え方を、弊社は強くお勧めしています。理想は一家に1台ですが、それが難しければ、せめて集落に1台は備えておきたい機材です。
平常時に使える防災へ
私たちが目指すのは、災害のときだけ使う設備ではなく、平常時にも価値がある設備です。たとえば、SIMカード対応カメラを社内で複数回線保有し、平時は店舗や留守宅の見守りカメラとして1週間1,000〜2,000円程度で短期貸し出しする。そのうえで、地震や災害が起きたときには、そのまま防災・防犯用途へ転用する。
こうすることで設備の稼働率を高めながら、災害時の備えも同時に強化できます。「買って終わり」ではなく、「使い続けられる備え」にすることが、私たちが最も大切にしている考え方です。
おわりに
熊本の被災地で今必要なのは、目の前の救援と、これから続く生活再建の支えです。そして奥能登でもまた、同じような災害が起こる可能性を前提に、平時から備えを整えておく必要があります。
みらい防災不動産は、災害時にだけ役立つものではなく、日常の安心を支え、いざという時に確かに機能する仕組みを、これからも提案してまいります。
みらい防災不動産(設立準備中)
