はじめに
太陽光発電システムの導入を検討する際、多くの方が悩むのが「既存の電気料金プランをどうするか」という問題です。特に北陸電力のエルフナイトなど、深夜電力が割安になる時間帯別料金プランを利用している場合、太陽光発電との相性をどう考えればよいのでしょうか。今回は、自宅への太陽光発電システムと大容量蓄電池の導入にあたり、電気料金プランの選択とエコキュートの運用方法について検討した結果をまとめました。
太陽光発電・蓄電池システム導入の基本情報
今回導入を決めたシステムは以下の通りです
- 太陽光発電容量:3.5kW
- メーカー:国内メーカー製高効率パネル
- インバーター:ハイブリッドインバーター(ASP 4-6.5kW Uシリーズ)
- 蓄電池容量:15.3kWh
- 年間予想発電量:約3,300kW
- 自家消費率:約93%(発電抑制を含む)
- 年間電力消費量:約6,900kW
このシステムでは、余剰電力が発生した場合に発電抑制がかかり、売電はできません。そのため、蓄電池の導入により日中の余剰電力を貯蓄し、夜間に活用することで自家消費率を最大化します。
蓄電池導入の決断
蓄電池ですが、以下の理由から15.3kWhの大容量蓄電池の導入を決断しました
- 余剰電力の有効活用:発電抑制される電力を蓄電して夜間に活用
- エネルギー自給率の向上:太陽光+蓄電池により電力自給率が大幅に向上
- 災害時のレジリエンス強化:停電時にも電力供給が可能に
- 将来的な電気料金上昇への備え:電気料金が値上がりしても影響を最小化
大容量の蓄電池を選択することで、日中の余剰電力をほぼすべて蓄電し、夜間にも自家発電電力を使用することが可能になります。
電気料金プランの検討
太陽光発電システムと蓄電池の導入にあたり、電気料金プランも変更すべきか検討しました。現在契約しているエルフナイトプラン(深夜電力が安い時間帯別料金プラン)と、一律料金プランの比較を行いました。
エルフナイトプランと一律料金プランの比較
項目 | エルフナイト | 一律料金プラン |
---|---|---|
基本料金(60A) | 2,145円/月 | 2,145円/月 |
料金体系 | 時間帯別(夜間安い) | 24時間一律 |
年間電気料金予測 | 約122,810円 | 約130,932円 |
太陽光発電との相性 | 蓄電池があれば良好 | 良好 |
計算上はエルフナイトプランの方が年間約8,000円ほど安くなる結果になりました。蓄電池の導入により、日中の余剰電力を夜間に活用できるため、エルフナイトと太陽光発電の組み合わせの欠点が解消されます。
また、エルフナイトプランは現在新規加入が停止されているため、一度解約すると再契約できないという重要な制約があります。これらを考慮し、エルフナイトプランを継続することに決めました。
最適解:季節別運用方法の採用
蓄電池導入後も、エコキュートの運用方法を季節によって変更するという方針を採用することにしました。蓄電池があっても、季節ごとの発電量と消費量のバランスを考慮した運用が効率的です。
季節別の最適運用パターン
- 冬季(12〜2月)
- エコキュート:深夜運転
- 蓄電池:日中の少ない発電量を貯蓄し、夕方〜夜間の電力需要に充当
- 理由:太陽光発電量が少なく、給湯需要が高い時期
- メリット:エルフナイトの深夜割引を最大限活用できる
- 春・秋季(3〜5月、9〜11月)
- エコキュート:一部日中運転、一部深夜運転
- 蓄電池:余剰電力を貯蓄し、夜間に活用
- 理由:中間期は発電量と消費量のバランスが取りやすい
- メリット:自家消費と割引メリット両方を活用
- 夏季(6〜8月)
- エコキュート:主に日中運転
- 蓄電池:大量の余剰電力を蓄電し、夜間の冷房需要などに活用
- 理由:発電量が多く、冷房需要が増える時期
- メリット:蓄電池容量を最大限活用できる
この運用方法により、季節ごとの発電量と電力需要の変化に応じて、最も経済的な運用が可能になります。また、15.3kWhという大容量蓄電池により、夏場の冷房需要や冬場の暖房需要にも対応できる余裕があります。
パネル追加設置の検討
太陽光パネルの追加設置についても検討しましたが、以下の理由から現時点では行わないことにしました:
- 現状の3.5kWシステムと15.3kWh蓄電池のバランスが適切
- 屋根の形状と方角の制約
- 追加設置によるコスト増
蓄電池容量が15.3kWhあれば、現状の3.5kWのパネルで発電される電力を十分活用できると判断しました。実際の運用データを収集した後、必要に応じて将来的にパネル追加を検討する可能性は残しています。
蓄電池活用のポイント
大容量蓄電池を最大限活用するためのポイントは以下の通りです:
- 蓄電モードの適切な設定
- 経済モード:電気料金の安い時間帯に充電、高い時間帯に放電
- グリーンモード:太陽光発電の余剰電力を優先的に蓄電
- 季節に応じて最適なモードを選択
- 停電対策としての活用
- 常に一定量の充電を維持しておく設定
- 災害時の必要電力量を想定した運用計画
- 家電使用タイミングの最適化
- 洗濯機や食洗機などの使用を発電量の多い時間帯に
- 電力消費の大きい機器の使用時間を分散
まとめ:柔軟な運用がカギ
太陽光発電システムと大容量蓄電池、そしてエコキュートの組み合わせでは、季節や生活パターンに応じた柔軟な運用がカギとなります。当家庭の場合は以下の方針で進めることにしました:
- エルフナイトプランを継続利用
- 15.3kWhの大容量蓄電池で余剰電力を最大限活用
- エコキュートの運転時間を季節ごとに最適化
- 実際の発電量と消費量のデータを蓄積し、運用を微調整
この取り組みにより、再生可能エネルギーの活用と経済性の両立、さらに災害時のレジリエンス強化を目指していきます。皆さんも太陽光発電と蓄電池の導入を検討される際は、既存の電気料金プランとの相性や、季節ごとの運用方法について検討されることをおすすめします。また、今後の運用実績や効果については、随時このブログでシェアしていく予定です。