若者と多拠点生活の可能性
令和6年の能登半島地震では、全国から数多くの若者がボランティアとして現地入りし、瓦礫の撤去、物資の仕分け、高齢者の見守り活動などに従事しました。
その中には、初めて能登を訪れた学生や若手社会人も多く、そこでの出会いや体験が「ただの支援」から「地域との関係」へと変化していく様子が数多く見られました。
災害支援は“きっかけ”でしかない
・地域の人に感謝される経験 ・一緒に作業する中で生まれる信頼感 ・都会では得がたい自然とのふれあい
これらが、若い世代にとって「自分の居場所」「もう一つの生き方」へとつながっていく可能性を秘めています。
しかし、現状の支援体制では「継続的な関係づくり」にまで制度が追いついていません。 多くの若者は、善意だけで動いており、金銭的な補償や将来的な展望を描くことが難しいのが現実です。
国や行政がすべきは“継続できる仕組みづくり”
・支援活動に対する適正な報酬制度 ・災害支援を契機にした副業・兼業制度の整備 ・2拠点生活への助成や空き家活用支援
「一度来た人が、もう一度来られる」ためには、環境と制度の両輪が必要です。
若者が地域に関わり続けるために
みらい防災不動産では、ボランティアや地域活動で関わった若者が、 能登に“もう一つの居場所”をつくれる仕組みを構想しています。
- 空き家のシェア利用(短期滞在・副業拠点)
- 防災カフェ運営への参加(企画・広報・SNS発信)
- 週末限定の農作業アルバイト
- 災害支援チームとの継続的な訓練・交流
- 副業型スキル活用の場提供
地方に根を下ろすこと=「移住」ではなく、 **「拠点を持つこと」「必要なときに関わること」**でも十分意味があります。
“関係人口”ではなく“担い手人口”へ
行政用語としての「関係人口」は広まりつつありますが、 私たちが目指すのは“実際に地域を支える人=担い手人口”です。
・地域のイベントを企画する人 ・住民と住民をつなげるハブになる人 ・不在時にも地域の状況を見守ってくれる人
そうした人が、これからの能登を支えていく時代です。
「ボランティアで終わらせない」 その先にこそ、本当の意味での地域共生があると私は信じています。