はじめに

太陽光発電と蓄電池システムの導入を検討する中で、最適な構成を見つけるために詳細なシミュレーションを行いました。この記事では、実際の消費電力データと発電データに基づいたシミュレーション結果と、その分析から導き出した結論を共有します。卒fit後に何もしなければ、今まで33円で売れていた電気が8円でしか売れなくなります。これは資産の無駄です。電力会社だけが良い思いをすることになります。そういう仕組みです。太陽光パネルで発電した電力という資産をいかに活用するかを考えました。

前提条件

検討しているハイブリッドインバーターはSRNE社製です。日本国内では系統連系が禁止されており、余剰電力を売電することができません。つまり、発電量が消費量を上回る場合、その余剰電力は発電抑制がかかり無駄になってしまいます。

主な条件:

  • 売電不可(系統連系禁止)
  • 余剰電力は発電抑制により無駄になるが、蓄電池を増やしても空き容量が無駄なコストになってしまう
  • 蓄電池容量:5.1kWh×3=15.3kWh
  • 過去の売電データを元に蓄電可能量を算出

シミュレーション結果

過去の発電・売電データと現在の消費電力データをもとにシミュレーションを実施しました。過去に売電していた電力量が、新システムでは蓄電可能な量に相当すると仮定しています。

月別の発電・消費・蓄電量

消費電力(kWh)発電量(kWh)直接使用(kWh)蓄電量(kWh)発電抑制(kWh)活用率(%)日平均発電(kWh)日平均蓄電(kWh)
1月1,2411,3351,241940100.0%43.13.0
2月9881,1519881630100.0%41.15.8
3月8061,1138063070100.0%35.99.9
4月6199886193690100.0%32.912.3
5月2907122904220100.0%23.013.6
6月2616542613930100.0%21.813.1
7月3496723493230100.0%21.710.4
8月5759495753740100.0%30.612.1
9月4908034903130100.0%26.810.4
10月2955712952760100.0%18.48.9
11月3315573312260100.0%18.67.5
12月7208337201130100.0%26.93.6
合計6,96510,3386,9653,3730100.0%

主要な結果

  • 年間発電量: 10,338 kWh
  • 年間消費電力量: 6,965 kWh
  • 年間自家消費量: 6,965 kWh (自家消費率: 67.4%)
  • 年間蓄電量: 3,373 kWh (蓄電率: 32.6%)
  • 年間発電抑制量: 0 kWh (発電抑制率: 0.0%)
  • 発電活用率: 100.0%

余剰電力と蓄電池容量

過去の発電・売電データを分析した結果、どの月も日平均蓄電量(過去の売電量から算出)は最大で13.6kWh(5月)となり、蓄電池容量(15.3kWh)を下回ります。これは蓄電池容量の約89.0%を使用する計算になります。

各月の蓄電量(過去の売電量に相当)は以下の通りです:

  • 1月:94kWh (日平均: 3.0kWh)
  • 2月:163kWh (日平均: 5.8kWh)
  • 3月:307kWh (日平均: 9.9kWh)
  • 4月:369kWh (日平均: 12.3kWh)
  • 5月:422kWh (日平均: 13.6kWh) ← 年間での最大値(真夏は暑すぎてパネルの発電効率が落ちるためです)
  • 6月:393kWh (日平均: 13.1kWh)
  • 7月:323kWh (日平均: 10.4kWh)
  • 8月:374kWh (日平均: 12.1kWh)
  • 9月:313kWh (日平均: 10.4kWh)
  • 10月:276kWh (日平均: 8.9kWh)
  • 11月:226kWh (日平均: 7.5kWh)
  • 12月:113kWh (日平均: 3.6kWh)

二つのAIによる結果比較

別々のAI(Claude と ChatGPT)を使って独立にシミュレーションを行いました。僅かな差はあるものの近似値の範囲内であったと考えます。セカンドオピニオンのような役割でAIを複数使うことを私は行っています。

従来の計算では発電量を3,402kWh程度と見積もっていましたが、過去の売電データも含めて総合的に考えると、実際の発電量は10,338kWhと大幅に多いことが分かりました。ただし、これはあくまで「自家消費量+売電量」として計算したもので、実際の発電パターンとは若干異なる可能性があります。

重要なのは、いずれの計算方法でも蓄電池容量(15.3kWh/日)を超える日平均蓄電量はなく、理論上は発電抑制が発生しない点です。しかし、日々の天候変動により、晴天が続く日には一時的に蓄電池容量を超える余剰が発生する可能性は考慮する必要があります。

結論と投資判断

シミュレーション結果を踏まえて、以下の投資判断に至りました

  1. 太陽光パネルの増設は行わない
    • 現状のパネルでも発電した電力はすべて自家消費し、日中使わない余剰電力を全て蓄電できる見込み
    • 発電抑制が発生しない計算結果から、追加パネルは不要と判断(パネルを追加すると発電抑制が発生し無駄が生じる)
  2. 蓄電池は5.1kWh×3で運用を開始
    • 合計15.3kWhの蓄電容量は現在の発電・消費パターンに最適
    • 最も蓄電量が多い5月でも日平均13.6kWh(蓄電池容量の約89%)であり容量内に収まる
  3. 発電機への投資を優先
    • 追加の蓄電池やパネルより、単相3線100/200V発電機(約15万円)への投資が災害対策として合理的
    • 初期投資には発電機接続ケーブル、切替器、漏電ブレーカーなども含まれており、総合的な災害対策が可能

今後の計画

  1. 実運用データの収集
    • 年間を通じて実際の発電・消費・蓄電データをモニタリング
    • SRNE社が提供しているソーラーマンアプリで発電抑制の発生状況を確認(リアルタイム確認可能、履歴も残る)
  2. 必要に応じたシステム最適化
    • 実データに基づいて、将来的な蓄電池・パネル増設の必要性を再検討する余地はある

災害対策としての多重バックアップ

太陽光発電+蓄電池に加えて発電機を導入することで、天候に左右されない多重バックアップ体制を構築できます。災害時の電力確保手段を多様化することで、より強靭な家庭用電力システムの実現を目指します。

まとめ

初期投資の範囲内で、平常時の電力自給率最大化と災害時の安全確保を両立させるシステム構成を実現します。今回のシミュレーション結果は、エネルギーの自立と防災の両面から、家庭におけるエネルギーシステムの最適化を考えるための良い参考事例となるでしょう。

実際の運用開始後も定期的にデータを確認し、必要に応じてシステムの最適化を続けていく予定です。

運用上の注意点と工夫

シミュレーションでは月間や年間の平均値を使用していますが、実際の運用では当然日によって発電量にばらつきがあります。特に晴天が続く日には日20kWh以上の発電もあり得るでしょう。そういった日は、日中の消費量が5kWh程度であれば、一時的に発電抑制が発生する可能性があります。

しかし、そのような日は年間を通して数日程度と考えられ、全体の発電効率にはほとんど影響しないでしょう。これは季節変動や天候に左右される太陽光発電の特性として、ある程度は仕方がない部分です。

また、実際の運用では以下のような工夫で発電抑制を減らせる可能性もあります:

  • 晴天予報の日は意図的に電力消費を増やす(洗濯機や食洗機の使用など)
  • 蓄電池の一部を意図的に放電しておき、余剰電力の受け入れ余地を増やす

このような日々の運用の中で最適な使い方を見つけていくことも、システム導入後の楽しみの一つになるのではないでしょうか。

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